歯科コラム

インプラント治療は、失われた歯の機能を取り戻すとても優れた治療法です。しかしその一方で不十分な診断や不適切な治療により、治療後の後遺症に悩まされる症例が問題になっています。

そこで今回は、インプラント治療で起こりうる後遺症や、そのトラブルを回避する方法などについて詳しくご紹介したいと思います

インプラント治療で起こりうる後遺症

インプラント治療で起こりうる後遺症

インプラント治療では、人工歯根(歯の根っこ)を顎の骨の中に埋め込む外科手術を行います。それによって術後数日から数週間は、痛みや腫れなどの症状が現れやすくなります。残念ながらこのような術後の症状を完全に避けることはできません。しかし、どの症状も一時的なものであり、通常は術後数日から数週間で消失します。

一方でインプラント治療が終了した後も何らかの不快症状が残っていたり、またその症状が数か月、数年続く場合は、インプラント治療による後遺症が疑われます。それではインプラント治療で起こりうる後遺症の症例にはどのようなものがあるのか、以下に詳しく解説していきましょう。

■神経の損傷による皮膚のしびれ・痛み


インプラント治療における外科手術では、顎の骨に特殊なドリルで穴を空けて人工歯根を埋入します。この時に誤って神経を傷つけてしまうと、治療が終わってもしびれや痛みなどの症状が続いてしまう場合があります。

このような後遺症が特に起こりやすいのは、下顎にインプラント治療を行う時です。下顎の骨の中には「下歯槽神経(かしそうしんけい)」と呼ばれる太い神経があり、顎の骨が薄くなっているケースでは注意を要します。もし、下歯槽神経にダメージが加わってしまうと、唇の周りがしびれたり、ピリピリと痛むなど皮膚の感覚異常を引き起こす可能性があります。

■上顎洞への突き抜け・人工歯根の迷入


上顎には目の下に上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる鼻の空洞があります。上顎で起こりやすいインプラント治療のトラブルの1つは、骨を削る際にドリルが上顎洞へ突き抜けてしまうケースです。

また突き抜けに気づかずにそのまま人工歯根を埋入してしまい、人工歯根が上顎洞の中に入り込んでしまうケースもあります。いずれの場合も、術後に片方の鼻(インプラント治療を行った方)だけが詰まりやすい、鼻から膿がでる、頬を押すと痛いなどの症状が現れます。

■咬み合わせの不具合による症状(頭痛・肩こり・耳鳴りなど)


手術などを含めたインプラント治療が比較的スムーズに進んだケースにおいても、治療後に不快な症状に悩まされることがあります。

それは咬み合わせが、アンバランスになっていることよる身体的症状です。インプラントを立てる位置や咬み合わせの高さなどが適切でない場合、咬み合わせる歯に強い負荷がかかるほか、顔面の筋肉や顎の関節にも悪影響を及ぼします。
その結果「咬み合わせの歯が欠ける、割れる」などの問題や、「口が開けづらい、開かない」といった顎関節症の症状を引き起こす恐れがあります。さらに首や肩のこり、身体のだるさ、耳鳴り、難聴といった不定愁訴(原因がはっきりとしない身体の不快な症状)も、インプラントの咬み合わせの不具合から起こりうる症状です。


インプラント治療におけるトラブルを回避するポイント

インプラント治療におけるトラブルを回避するポイント

インプラント治療は歯を補うほかの治療法と比較して、実に多くのメリットがあります。しかしそのメリットばかりに気を取られて安易に治療を推し進めれば、思わぬトラブルを招いてしまうので注意が必要です。

安全かつ適正なインプラント治療を受けるため、治療に際しては以下のポイントに十分気を付けましょう。

■安心して治療を受けられる歯科医院であるか


インプラント治療で最も重要なのは、治療を受ける歯科医院選びです。インプラントの症例数が豊富で技術が高いことはもちろんですが、患者の悩みや要求にも誠実に対応しているかも大切なポイントと言えます。インプラントの利点ばかり挙げて治療を強く勧めてきたり、患者に考える時間を与えないで治療を急かすような歯科医院は選ばないほうがよいでしょう。

また術中、術後の不用意な感染を避けるためには、衛生管理がしっかりなされているかを見極めることも重要です。

■術前診査を十分に行ったか・治療内容に納得できるのか


インプラント治療においてトラブルが起こる原因は、事前の診査、診断が十分に行われていない点にあります。先に述べた神経や上顎洞の損傷などは、術前に必要な検査をしっかり行っておけば避けられるケースも少なくありません。

大切なのは正確な診査が行われた上で、インプラント治療で起こりうるリスクや身体的負担についてもきちんと説明がなされているかどうかです。インプラント治療に際してはメリットとデメリットを十分理解した上で、納得できる治療内容であるのか判断しましょう。もし治療内容が不十分だと感じたら、他の医院でセカンドオピニオンを求めてみるのも1つの方法です。

■治療終了後も定期的なチェックを行えるか


インプラント治療は治療終了後に定期的なメインテナンスを受けることで、長期的な維持が可能になります。また軽度の不具合であれば、早めに対処することで大事に至らずにすみます。

したがってインプラント治療後に無用なトラブルを起こさないためには、治療が終わった後も定期的なチェックを受けられるかどうかも非常に重要なポイントでしょう。


まとめ

インプラント治療における後遺症を回避するためには、歯科医師の高い知識や技術のほかに、十分な診査や診断、そしてアフターケアの充実などが重要なポイントとなります。

治療を受ける側が、インプラント治療を受けるに際にあらかじめ様々な情報や知識を得ておくことも、無用なトラブルを避けるためには必要と言えるでしょう。

■ 歯科コラム バックナンバー一覧

吉岡歯科医院オフィシャルサイト

吉岡院長の治療説明や最新歯科治療について紹介しています!