歯科コラム

せっかくインプラントを入れたら、なるべく長持ちさせたいですよね。インプラントは人工物なのだから虫歯にもならないし、そんなにお掃除は神経質にならなくても良いだろうと思っている人もいるかもしれません。ですが実際、インプラントを長持ちさせられるかどうかのわかれ道は、インプラントの毎日のお掃除方法にかかっているといっても過言ではないのです。確かにインプラントは人工物ではありますが、生体に埋まっている性質上、細菌感染を起こす危険性があり、それがインプラントをダメにしてしまう原因となるからです。ただ、インプラントのところを磨きさえすればどうでもいいのか、というとそれもまた違います。「磨いている」と「磨けている」というのは決して同じではないからです。今回はインプラントを長持ちさせるための正しい磨き方についてご紹介していきます。

インプラントは自分の歯よりも入念なケアが必要

インプラントは自分の歯よりも入念なケアが必要

インプラントは第二の永久歯とも呼ばれており、まるで自分の歯が蘇ってきたかのような感覚が得られる素晴らしい治療法です。外から見ても、他人が見て自分の歯とおそらく見分けがつくことはないでしょう。このように、あたかも自分の歯のように見えるインプラントではありますが、実際のところ、やはり自分の天然の歯とは異なります。

インプラントは骨や歯茎と結合していますが、その結合の仕方が天然歯のそれとは違うため、細菌感染のダメージを受けやすい状態になっています。つまり、これは歯周病と同じような状態を天然歯よりも起こしやすいということです。(インプラント周囲に起こる歯周病をインプラント周囲炎と呼んでいます)。そのことを、インプラント治療を受けようと考えている人、また、実際に受けた人はよく知っておく必要があります。それでは、インプラントと天然歯との違いとはどのようなところにあるのか、見ていきましょう。

■天然歯とインプラントの構造の違い

1.歯根膜の有無

天然歯と骨との間には、歯根膜と呼ばれる組織が介在しています。これは、噛んだ時にかかる力を緩衝するクッションの役割を果たしているものです。ところがインプラントにはこの歯根膜が存在せず、インプラントの歯根と骨は直接結合している状態です。歯根膜がある状態だと、強い力がかかったとしても、その力を歯根膜が和らげてくれますので、骨が直接ダメージを受けることはありませんが、インプラントの場合だと力がダイレクトに骨に伝わります。インプラント周囲に感染を起こしている場合、インプラントに過剰な力が加わると、インプラント周囲の骨の吸収が一気に進んでしまい、インプラントが抜け落ちる原因となってしまいます。

2.歯茎の線維の構造の違い

天然歯とインプラントは、歯茎との結合の仕方にもそれぞれ違いがあります。インプラントと歯茎は結合してはいますが、天然歯と歯茎の結合の仕方よりも脆弱で、一旦歯茎が感染し炎症を起こすと、それが深部に進みやすい状態になっています。そのため、インプラントの場合は特に、歯茎に炎症を起こさないように細心の注意を払う必要があります。

3.血液供給の違い

天然歯の場合、歯茎と骨、歯根膜の3方向から血液の供給を受けています。しかし、インプラントの場合には歯茎と骨からの2方向からのみの血液供給しかありません。血液供給が少ないと、免疫機構が働きにくくなるため、感染に対して対抗する力が弱くなってしまいます。

インプラントの歯磨きのコツと注意点

インプラントの歯磨きのコツと注意点

ただ何気なく歯ブラシをゴシゴシと横に動かすだけでは、インプラント周囲炎は防げません。インプラントを失う原因となるインプラント周囲炎は、インプラントの被せ物と歯茎との境目から起こります。そのため、この部分の汚れをしっかりと落とすことが最重要事項となります。

■歯ブラシ

歯ブラシはふつうかやわらかめの硬さを選び、歯茎との境目に毛先を当てて小刻みに動かすように磨きましょう。この時、決して力を強くかけないようにしましょう。歯茎が退縮してインプラントが露出する原因になります。電動歯ブラシを使うことも可能ですが、メーカーや機種によって、機能やパワー、効果に違いがありますので、使用する前に歯科医師、衛生士に相談することをおすすめします。

■補助清掃器具

歯ブラシのみでは歯垢を十分に落とすことはできません。歯ブラシだけでのブラッシングでは60%ほどしか磨けないことがわかっています。歯垢が残っているとインプラント周囲炎を起こしやすくなりますので、歯ブラシだけでブラッシングを終えるのはおすすめしません。歯垢除去率を高めるには、毛束の小さなワンタフト歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、ウォーターピックのような補助清掃器具を併用する必要があります。ただ、歯の状態によってどのような器具、どのようなサイズを使えば良いかというのは違ってきます。合わない器具を使うとインプラントや歯茎を傷めてしまう恐れもあるため、詳しくは担当の歯科医師、衛生士に相談してみましょう。

インプラントは適切なケアを行うことで、何十年も持たせることが可能な治療法です。そのためには正しいケア方法をしっかりと身に付ける必要がありますので、ためらわず歯科医師や歯科衛生士にアドバイスを求めるようにしましょう。

■ 歯科コラム バックナンバー一覧

吉岡歯科医院オフィシャルサイト

吉岡院長の治療説明や最新歯科治療について紹介しています!