歯科コラム

歯を失った場合に「なるべく周囲の歯を削ったり、周囲の歯に負担のかからない方法で歯を補いたい」、と思う人にとって、歯の移植やインプラントというのは絶好の治療方法だと言えるでしょう。この「歯の移植」と「インプラント」というのは、なにかと混同されがちなのですが、実は全く違う治療法です。今回は歯の移植とインプラントとはそれぞれどのような治療法なのか、また、それぞれのメリット・デメリットなどについてご紹介していきたいと思います。

歯の移植とは

歯の移植とは

歯の移植というのは、歯を失った部分に「自分の歯」を抜いて植え直すことを言います。通常移植に使われる歯は健康な親知らずや、位置の異常などにより噛み合わせに関与していない歯です。したがって、そのような歯が残っていない場合には行うことができませんし、歯根の形や大きさが合わないと難しいという難点があります。

インプラントとは

インプラントというのは、歯を失った顎の骨にチタンでできた人工の歯根を埋め、その上に人工の歯を被せる方法です。顎の骨の厚みなどに応じて太さや長さなどのサイズを選んで埋めることができます。

歯の移植のメリット

■自分の歯を生かすことができる

歯の移植の最大のメリットとも言えるのが、使われていない歯を有効利用できるというところです。移植として使われるのはほとんどが親知らずですが、歯並びから外れていて噛み合わせに関与していない歯などが使われる場合もあります。自分の歯ですから、生体にも優しく、安心な治療法だと言えるでしょう。

■費用を抑えることができる

歯の移植は保険を効かせることが可能です。残すことが不可能になった歯を抜歯した後、親知らずを同日に移植するケースでは保険を適用することができます。しかし、親知らず以外のケースでは保険外治療となります。親知らずを移植するケースでは、3割負担の場合、だいたい1万円くらいが目安となります。

歯の移植のデメリット

歯の移植のデメリット

■移植に利用できる歯がないと行えない

これは当然のことですが、移植歯として使えるような親知らずなどがなければ、行うことができません。

■歯根の形などによってはできない場合もある

役に立っていない親知らずがあったとしても、抜く歯と大きくサイズが異なっていたり、歯根が大きく曲がっているケースでは移植歯として適さないこともあります。また、親知らずというのは倒れて生えていたり、歯根の形が複雑に曲がっていたりすることも多く、そのような場合にはバラバラに分割して抜かなければならず、移植歯として使えません。レントゲン上では問題なく抜けると推測されても、実際には歯根が肥大していたり、曲がっていてきれいに抜けないというケースも決して珍しくはありません。

■うまく定着しない場合がある

歯を移植したあとは、隣接する歯としっかりと固定し、2ヶ月ほど待つ必要があります。その間に異常な力をかけたり、不潔にしていると歯茎から感染が起こってうまく定着せず、抜かなければならなくなることもあります。

■歯が骨と癒着することがある

一旦しっかりと移植歯と骨が固定されたとしても、両者が癒着して一体化しまい、そのままにしていると、いずれ歯が根元で折れてしまうことがあります。

インプラントのメリット

■抜いた場所に合ったサイズを選べる

インプラントは様々なサイズが揃っているため、抜いた歯の状態に合った、太さや長さのサイズを選ぶことができます。

■一般的に移植よりは長持ちする

インプラントは移植の場合と違い、移植歯が骨と一体化するというようなことがないため、移植よりは一般的に長持ちをします。しかし、これはお手入れの状態などによっても変わってきます。

インプラントのデメリット

■治療費が高額になる

インプラントは保険が適用されませんので、1本埋めると数十万単位の治療費がかかります。移植を保険で行う場合と比較すると、治療費に大きな差が出てくることになります。

■金属アレルギーを全く起こさないわけではない

インプラントはチタンという金属が原材料として使われています。チタンは金属の中でも最も金属アレルギーを起こしにくい金属として知られており、心臓ペースメーカーや人工関節、骨折時に使用するボルトなどにも使われていますが、ごく稀にチタンでも金属アレルギーを起こす場合があると言われています。

しかし、歯を移植する場合においても、移植歯自体は金属アレルギーの原因になることはありませんが、被せ物を銀歯にすると金属アレルギーを起こすことがあります。

以上、ご説明したように、歯の移植とインプラントは全く別のもので、それぞれにメリット・デメリットがあります。歯の移植はインプラントと比較して、不確実な要素が多いとは言えますが、もしも役に立っていない健康な親知らずがあるのなら、一度試してみる価値はあると言えます。移植ができるかどうかは様々な条件に左右されるため、興味のある人は担当医に相談してみると良いでしょう。

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