歯科コラム

インプラントを埋めたらずっと一生問題なく噛めるようになると思っている人がいます。インプラントは人工のものですから天然の歯のように虫歯で悪くなることがない、という考えからのようです。インプラントは虫歯にならない、これは間違いではありませんが、歯ぎしりのような異常な力がかかると、インプラントがダメになってしまうことがあります。今回は歯ぎしりをする人がインプラントをする場合の注意点についてご紹介していきます。

意外と気づいていない人が多い「歯ぎしり」

意外と気づいていない人が多い「歯ぎしり」

歯ぎしりのイメージはどのようなものでしょうか。ギリギリギリ・・・と大きな音を立てて歯をこすり合わせる、というイメージではないかと思います。ですが、歯ぎしりはそのように音が出るものだけではなく、グーッと噛みしめるような、いわゆる「食いしばり」と呼ばれる全く音のしないタイプのものもそれに含まれます。

そして、実はこのような音のしない食いしばるタイプの歯ぎしりの方が、歯に対するダメージは大きいと言われています。ギリギリと歯をこすり合わせるタイプの歯ぎしりをしている人は、家族などに指摘されて自分でも自覚している人が多いのですが、食いしばりタイプの歯ぎしりをしている人というのは、家族はもちろん、本人も気づいていないことが多いのです。つまり自分は歯ぎしりしていないと思い込んでいる人でも、実は歯ぎしりしていることがあるのです。

歯をダメにする大きな原因「歯ぎしり」はインプラントもダメにする

日本人の8割は歯ぎしりをしていると言われています。あるいは、ほとんどすべての人が多かれ少なかれ歯ぎしりをしている、とも言われています。程度が軽い場合には特に問題を起こしませんが、毎日強い歯ぎしりをしているような人は、歯に相当なダメージが加わります。歯ぎしりしている時というのは歯に持続的にかかる力が60kg〜100kgくらいにもなるとも言われていますので、その力が相当なことがお分かりになると思います。

歯を失う大きな原因として、虫歯、歯周病が挙げられますが、実はその次に来るのが「歯の破折」によるもので、その多くは歯ぎしりから引き起こされています。また、歯ぎしりは歯周病を悪化させる因子ともなっていますので、そういう意味でも要注意です。インプラントは、天然歯以上に歯ぎしりのような異常な力には弱く、それが原因でインプラントをダメにしてしまう人も実は少なくありません。

歯ぎしりのはっきりとした原因は特定されてはいませんが、現在のところストレスが原因だという説が有力です。ストレスが多い時ほど歯ぎしりを多くするということがわかっています。

歯ぎしりをしているかどうかのセルフチェック法

歯ぎしりを自覚していない人でも実はひどい歯ぎしりをしている可能性があります。眠っている間に歯ぎしりをしているかどうか、次の項目でチェックしてみましょう。当てはまるものが多ければ強い歯ぎしりをしている可能性大です。

●歯が結構磨り減っている
●冷たいものでしみる歯がある(知覚過敏)
●歯の根元が楔形にくぼんでいる
●頬粘膜や舌に歯の形の跡がついている
●歯に細かい亀裂がたくさん入っている
●朝起きた時に顎がだるかったりこわばっている
●頭痛や肩こりに悩まされている
●詰め物や差し歯などがよく外れてしまう

歯ぎしりがインプラントに及ぼしうる悪影響

歯ぎしりがインプラントに及ぼしうる悪影響

インプラントは骨と結合していますが、天然歯の場合と違って、骨との間に歯根膜と呼ばれるクッションの役目をする組織がありません。天然歯の場合は、噛む力が加わると、歯根膜が存在してくれているおかげで、歯は多少沈み込み、力が緩衝されますが、インプラントの場合には歯根膜がないので、歯が沈み込み緩衝されるということがなく、力がまともにかかってしまいます。そのため次のようなことが起こります。

■インプラントの人工歯が割れる・外れる

噛み合わせの力が強くかかることにより、インプラントの被せ物のセラミックが欠けたり、割れてしまったり、外れてしまうことがあります。しかし、これらは修正が効きますので実はそれほど問題ではありません。

■インプラント周囲炎を引き起こす

本当に怖いのはこちらです。歯ぎしりで強い揺さぶられるような力が働くと、インプンラントと骨の間にわずかに隙間が空きます。この部分に歯垢(プラーク)が溜まってしまうと、その部分から歯周病細菌の感染が起こり始めます。そうすると、インプラント周囲炎を起こして周囲の骨を溶かしてしまい、インプラントが抜け落ちてしまうことにつながります。

歯ぎしりをする人がインプラントを受ける際の注意点

歯ぎしりをしている人がインプラントを受ける場合、歯ぎしり対策をしっかりと行わなければインプラントをダメにしてしまう恐れがあります。眠っている間の歯ぎしりというのは自分でコントロールが難しいため、歯ぎしりから歯を守るためのマウスピースを入れるという方法が最も一般的ですが、眠る前に自己暗示によって歯ぎしりを起こさないようにする方法が効果的な場合もあります。

しかし、もともと歯ぎしりが原因で歯を失った場合、その部分にインプラントをしても結局インプラントもダメになってしまう可能性が高くなります。そのため、あまりに歯ぎしりがひどい場合にはインプラントが勧められない場合もあります。もし歯ぎしりをしている場合には、一度歯科医師とよく相談することが大切です。

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