歯科コラム

歯を抜いた後に「歯を抜いたら差し歯になるんですか?」と患者さんに質問されることは意外と多くあります。もしくは、差し歯の部分を「インプラントが入っている」と患者さんが思い込んでいるケースというのもあります。このように、インプラントと差し歯は何かと混同されがちで、しかも目に見えない部分であるため、患者さんにとっても非常にイメージが湧きにくいようです。しかし、インプラントと差し歯というのはまるっきり違うもので、それぞれ治療中、治療後に気をつけるポイントなども違います。今回はよく混同されやすい、インプラントと差し歯について、これらの違いというのはどのようなものなのか、それぞれ長持ちさせるために気をつける点などについてご紹介していきたいと思います。

インプラントと差し歯の違い

インプラントと差し歯の違い

インプラントと差し歯は、どちらも外から見ると歯が見えない部分に行いますが、具体的には次のような違いがあります。

■インプラントは歯を失った場合に行うもの

インプラントは歯を丸ごと抜いてしまった場合に行います。歯というのは歯冠(しかん)と呼ばれる歯茎の上に出ている頭の部分と、歯根(しこん)と呼ばれる根っこの部分に分けられます。虫歯で歯が歯根部分まで崩壊してしまった場合や、歯周病で歯根を支えている骨が溶けてしまった場合、歯根が割れてしまった場合には抜歯をすることになります。

●インプラントは外科手術が必要
このような「歯を全て失った場合」に行われるのがインプラントで、チタンでできた人工の歯根を骨の中に埋め、その上に人工歯をつける治療になります。インプラントは人工歯根を骨に埋め込むため、歯茎を切開して骨を削る、というような外科手術が必要になります。そして、最終的にクラウンをかぶせるまでには人工歯根と骨が結合するまで数ヶ月待つ必要があります。

●インプラントは保険がきかない
インプラントは現在の時点では保険の適用がありません。そのためインプラントをする場合には、ごくわずかな例外を除いて全て自費となります。

■差し歯はまだ歯がある場合に行うもの

差し歯は歯を失った場合ではなく、歯の頭の部分である「歯冠」のみを失った場合に行われる治療です。差し歯を行う場合というのは、歯根は残っている状態であり、その部分にコア(土台)と呼ばれる芯棒を入れ、上にかぶせるクラウンが外れないように維持させます。

●差し歯は根の治療を必要とする場合が多い
差し歯は歯根に「歯を差す」ため、インプラントのように外科手術は必要ありません。ですが、歯根の中にもともと入っていた神経はもちろん取り除いた状態で行いますので、根の処置が必要になります。もともと根の処置が行われていて、病変がない場合にはそのまま根の治療を行わない場合もあります。根の治療は根の状態によっては回数が何度もかかることがあります。

●差し歯は保険・自費のうちから選ぶ
差し歯は材質によって、保険・自費のいずれかを選ぶことになります。一般的に、保険のものは見た目、耐久性、生体親和性(体に悪影響を及ぼさず、馴染みやすいこと)などの点で、自費のものよりも劣ります。

インプラントを長持ちさせるためには

インプラントをダメにしてしまう原因として、「インプラント周囲炎」というものが挙げられます。これはインプラントの歯周病のようなもので、インプラント周囲を不潔にしておくことで、お口の中の歯周病細菌がインプラント周囲に感染し、引き起こされます。「インプラントは人工物なので、ダメにならない」と思っている人がいますが、インプラント周囲にはこのような感染が起こりえます。しかも天然の歯に比べて、細菌感染に対する防御機構が劣るため、感染が起こりやすく、一度感染すると進行が早いので細心の注意が必要になります。そのため、インプラント周囲炎にかからないようにするためには、毎日の念入りな歯磨きに加え、歯科医院での定期的なクリーニング、噛み合わせのチェックなどを受ける必要があります。また、歯周病を引き起こす危険因子であるタバコを吸わない、糖尿病に気をつける、などの注意も必要になってきます。

差し歯を長持ちさせるためには

差し歯を長持ちさせるためには

差し歯をダメにしてしまう原因として多いのは、歯根破折(歯根が割れてしまうこと)です。これは、差し歯に噛み合わせの力がかかることにより、差し歯のコア(土台)の部分が歯根に対してくさびの力をかけてしまうことが原因になっています。そのため、差し歯を歯根破折させないことが重要になってきますが、それに対する具体的な策としては、

●コアの材料を硬い金属ではなく、ファイバーコアのようなしなやかさのあるものにする
●歯ぎしりがひどい人は歯を保護するマウスピースを就寝時につける

というようなことが挙げられます。またもちろん、差し歯と自分の歯の隙間から虫歯ができないように、家庭での歯磨きや歯科医院での定期的なクリーニングなども重要です。

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