吉本歯科医院でのインプラント治療では、人工歯根を埋め込む手術の際「サージカルガイド」と呼ばれる装置を使用します。一般の歯科治療では使うことのない装置であり、初めて聴いた方がほとんどかと思います。インプラント治療を行う上でとても重要なサージカルガイドについてどんなものなのか、使用する理由やメリットなどを詳しくお話しますす。
サージカルガイドとは
サージカルガイドとは、インプラントオペの際に用いるマウスピースのような形の装置で、人工歯根を安全かつ正確に埋め込むのに役立ちます。サージカルガイドには人工歯根を埋め込む適切な位置・角度・深さが記録されており、手術当日はそのガイドに従って、専用のドリルを用いて埋入します。
事前の精密検査や診断、それらをもとに立案した治療計画を参考にして作製するため、手軽に作れるというものではありませんが、インプラント治療の質を向上させる上で非常に有用です。吉本歯科医院で現在使用しているサージカルガイドは製作過程が他社製品とは全く異なり完成までに患者様の口腔内で2度精度の確認を行います。製作過程にはいってから完成、手術までに約3週間弱かかりますがこれも安全で安心な非常に高精度のサージカルガイド作製の為です。例え10分の1ミリ以下の精密なインプラント埋入シミュレーションを設計しても、実際の手術でそのシミュレーション通りに手術するのは非常に難しいのです。我々術者も人間ですので、100%マシーンのように完璧に再現する事は残念ながら不可能で、少々の『ズレ』は起きます。そういった、術者の『ズレ』を防止し、インプラント埋入シミュレーションを現実のインプラント手術へと、より確実に還元してくれる物が、サージカルガイドです。
CTデータ3D立体構築画像によりシミュレーションしたインプラントの埋入位置を高精度に反映した手術用テンプレートを作製します。手術前に「どこの位置に、どの角度で、どの深さで」などといった細かいシミュレーションが行えます。また、逆に言うとこのサージカルガイドにより、失敗しようがないほど正確な位置へインプラントの埋入を行なうことができます。従来の、開けてみてからどのあたりまで入れるかを歯科医師の感覚で決める、といったリスクの大きい治療とは根本から考えが異なるものです。
サージカルガイドを使用するメリット
下歯槽神経を傷つける恐れがない
下の顎のインプラントを埋め込む際には、下顎管(かがくかん)と呼ばれる重要な神経と血管が収められた空洞を損傷しないよう細心の注意をはらわなくてはいけません。下歯槽神経(かしそうしんけい)を傷つけると、術後に唇周囲の麻痺が残ってしまう原因となります。下歯槽動脈を傷つけた場合は、術中の大量出血を招くことがあります。サージカルガイドを用いれば、下顎管に当たらないような埋入処置が可能となるため、そうしたトラブルを未然に防ぐことが可能です。
上顎洞への突き出しを避けられる
上の顎のインプラントを埋め込む際には、人工歯根が上顎洞(じょうがくどう)という空間に突き出ないよう注意が必要です。人工歯根が上顎洞へと突き出ると、上顎洞炎などの深刻な病気に発展しかねません。そもそもインプラント手術が失敗してしまうため、サージカルガイドで上顎洞への突き出しを防止することは非常に大きなメリットとなります。
歯茎を切開する必要がない
通常のインプラント手術では、歯茎を」大きく切開して、十分な視野を確保しなければなりませんが、サージカルガイドを用いるとその必要がなくなります。歯ぐきに小さな穴を開ける程度にとどまることから、術後の腫れや痛みを最小限に抑えられます。そうした歯ぐきを切らないフラップレス手術は、傷の治りも早めてくれます。
見た目がよく長持ちする歯にできる
人工歯根を埋め込む位置や角度、深さというのは、安全性だけではなく、機能性や審美性にも影響があります。サージカルガイドを用いて適切な位置に人工歯根を埋入することができれば、美しく長持ちする歯に仕上げることができます。サージカルガイドを用いないインプラント手術は、どうしても歯科医師の経験や勘、技術に頼る部分が大きく、安定した治療結果が得られにくいといったデメリットがあります。
精度の高いサージカルガイド作製にはCTが不可欠
サージカルガイドを作製する際、歯科用CTを活用すると精度が著しく向上します。なぜなら、レントゲン撮影のみの検査では2次元的な情報しか得られないのに対し、CT撮影では3次元的な情報が得られるからです。そもそもサージカルガイドは、人工歯根を埋め込む位置を3次元的にガイドしてくれる装置なので、ある意味その作製には歯科用CTによる撮影が欠かせないといえます。
同時に、インプラント治療を行う上でも歯科用CTによる精密検査は必須となっているのが現状です。もちろん、インプラント治療の実績が豊富で、これまで蓄積してきた知識や経験などをもとに正確な診断、外科処置を行える歯科医師であれば、歯科用CTによる検査が不要となることもありますが、それは稀なケースといわざるを得ません。
傷つけてはいけない神経や血管などが存在する顎の骨に、チタン製のネジをドリルで埋め込むのがインプラント治療ですので、可能な限り精密な検査を実施することが望ましいです。さらにサージカルガイドを用いることで、手術中の大きなトラブルを回避でき、仕上がりも美しい人工歯を手に入れることができるのです。
歯科用CT撮影によるメリット
1.見えなかったものが見える(従来のレントゲンとの違い~立体で把握~)
従来のレントゲンでは2次元の平面画像しか得られません。一方、歯科用CTを用いると3次元の立体画像が得られるので、平面画像ではわからなかった歯やあごの骨の詳細な立体構造や神経の位置などを精度高く把握することができ、より適切な診断・治療が可能になります。
2.診断の精度が上がり、安心、安全な治療につながる
一立体画像で確認できるので、インプラントだけでなく、親知らず、顎関節、腫瘍、矯正、歯周病、治りにくい歯根の治療など幅広く歯科治療に応用でき、治療の安全性が高まります。例えば、インプラントの手術においては、インプラントを入れる部分の 骨の形、厚み、深さ、骨質(硬さ、軟らかさ)、周囲の重要な神経血管などとの距離を計測することができるため、事前にシュミレーションして安全で適切な手術方法とインプラントの種類を選択できるようになります。イメージ的にはマンションの柱が硬い地盤まで届いていないと弱いですよね。実は骨の硬さは重要です。
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