歯科コラム

インプラントの特徴として、「天然歯のような使い心地」ということを耳にしたことがあるかも知れません。インプラントを希望する人が多いのは、他の治療とは違って、やはり自分の歯が蘇ったかのように治療ができることではないでしょうか。このような理由から、多くの人はインプラントした歯を新しく生まれ変わった自分の歯のような感覚で捉えがちで、同じように扱いがちなのですが、実はインプラントは、そのような感覚でいるとあまり長持ちしなくなってしまう可能性があります。

インプラントは第二の永久歯?

インプラントは第二の永久歯?

インプラントはよく「第二の永久歯」とか「第三の歯」というように例えられます。確かに、見た目の自分の歯のようであり、自分の歯のように噛めるようになりますので、その例えはそう言った意味では良い例えであると言えるでしょう。ですが、これは決して、失った歯のところに新しい歯が入って、それまで通り他の天然歯同様、普通に手入れしておけば大丈夫、ということではありません。インプラントはあくまでインプラントであり、天然歯のように扱っておけばいいというわけではないのです。その理由として、インプラントは骨の中に埋まって固定されてはいますが、骨とのくっつき方、歯茎との結合の仕方が天然歯のそれとは全く違うから、ということが挙げられます。


インプラントは「差し歯」ではありません

時々、歯を抜いたところに「差し歯をしてください」という人がいます。吉岡歯科医院でも時々言われることがあります。このように、インプラントと差し歯はよく混同されていることがありますが、両者は全く別なものです。差し歯は歯が残っている場合に行われる治療法で、歯根が残っている場合に、その歯根の中に土台を立てて人工歯を被せる治療です。それに対しインプラントは、歯を完全に抜いてしまった場合に、骨に穴をあけ、人工歯根を骨に埋め込み、その上に人工歯を被せる治療法です。


インプラントがと天然歯と比べて違うところ

インプラントがと天然歯と比べて違うところ

インプラントと天然歯では、その周囲組織に違いがあることで、いくつかの点で大きな違いがあります。一つずつ説明していきましょう。

1.インプラントは噛み合わせのダメージがかかりやすい

インプラントと天然歯の最も大きな違いとして、「歯根膜があるかどうか」ということが挙げられます。

天然歯には歯と骨との間に「歯根膜」と呼ばれる組織が介在し、歯に力がかかった時にクッションの役割を果たしてくれています。また、知覚神経が存在していますので、異常な力がかかった時に、その信号を痛みとして感じ取って私たちに異常が起こっていることを知らせてくれたり、歯周組織がダメージを受けてもそのダメージを修復してくれる働きもあります。

一方、インプラントはこの歯根膜が存在しません。インプラントは骨と直接結合している状態です。そのため異常な外力が加わっても、その力は緩衝されず、骨へ直接ダメージとして加わることになります。また、歯根膜がないため、異常な力がかかっていても痛みを感じにくく、どんどん異常な力をかけ続けてしまうことになりかねません。

2.インプラントは歯茎の炎症が奥に進みやすい

インプラントと天然歯は、歯茎との結合の仕方にも違いがあります。

天然歯の場合、歯茎の線維は歯根表面に存在している「セメント質」の内部に入り込んでいて、がっちりと垂直方向に強固に付着しています。インプラントの場合は、天然歯にあるようなセメント質が存在せず、歯茎の線維はインプラントに対して水平方向に走っているだけです。

つまり、天然歯は歯茎とがっちりとくっついていますが、インプラントは弱く付着しているのみであり、ひとたび歯茎に炎症が起こると、その付着が剥がれて歯茎の炎症が奥に進んでしまいやすい弱点があります。

3.インプラントは感染に対して非常に弱い

インプラントには天然歯のような歯根膜が存在しません。それは血液供給にも違いをもたらします。天然歯の場合は、血液の供給が「歯茎」「歯根膜」「骨」という3方向からありますが、インプラントの場合には「歯茎」と「骨」の2方向からしかありません。そのため、インプラントは天然歯に比べて血液供給の量が少なくなります。血液供給が少ないということは、感染した時に防御する働きをする白血球の数が少なくなるということですので、インプラントは感染が起こった時に弱いということになります。


インプラントと天然歯の違いを踏まえた上で気をつけること

インプラントは人工物だからと言って「悪くなりにくい」と思っている人もいますが、この考えは大変危険です。上で説明したように、むしろその逆だと考えてもらった方が良いでしょう。

つまり、インプラントを入れている人は、インプラントが「感染と異常な力に弱い」ということをよく頭に置いてもらった上で、細菌感染と噛み合わせの力のコントロールにより一層注意を払う必要があります。その点をしっかりと踏まえた上で気をつけてお手入れすればインプラントは長く持たせることができます。

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